CEO Interview

経営者インタビュー

前川建材株式会社

前川誠さん

企業情報

前川建材株式会社

今の時代で、ありとあらゆる建物に使われるコンクリートなどの建築資材。日々、丹波市内外の建築現場を支え続ける前川建材株式会社にお話を聞きに行ってきました。

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・大小問わず、あらゆる建築現場を支え続ける資材屋さん

・会社で働くみんなの気持ちを理解する支えとなった“よその釜の飯”

・これからの担い手を募集!家族のように支えあう会社を目指して

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今回お話をお伺いしたのは、専務取締役の前川誠さん(写真左)と、顧問の堂本博之さん(写真右)です。

大小問わず、あらゆる建築現場を支え続ける資材屋さん

はじめに会社概要を教えてください。

専務)主な事業は生コンクリートの製造販売、配達になります。他に砂利、砕石、砂等の建築資材の販売ですね。

開業はいつからでしょう?

専務)1957年に創業者である祖父が個人で開業し、株式会社になったのは1974年です。この辺りで生コンを始めたのはどこよりも早かったと思いますね。現在の社長は二代目になります。

元々は砂利や砂の販売、造成工事を手掛けてました。いわゆる建設業ですね。現在の生コンクリート工場があるあたりは昔、平地ではなく山だったんです。そこの土をとって、それを左官屋さんに売るといったところから始まったと聞いてます。昔は運んでいった先で、手で混ぜてやってた感じですね。

顧問)昔は手練りなんですわ。現場でね。今やったら考えられへんですけどね。昔はミキサー車もなかった時代ですんで。

僕も何回か手で練ったことあるんですが、すんごいしんどかった記憶しかないです。

顧問)しんどいしんどい。とてもじゃないですけどやってられませんよ。

専務)手練りやったところから、手動ですが機械的にできるようになってきて、最終的にはバッチャープラントになっていったんです。

この事業を始めることにしたきっかけは何だったんでしょう?

顧問)当時は国の主導でインフラ整備が大々的に行われた時代で、「建設業がこれから立ち上がってくるから、先を見据えると生コンが必要だろう」ということですね。結果的に、全国的にも右肩あがりの業界でしたし。

そういわれると、昔は公共工事もそんな簡単に受けられる会社はほとんどなかったんじゃないかと想像します。

顧問)昔はそうでもなかったからね。ほとんどのところが技術的にできない状態でしたし。

できる会社も限られてたんでしょうね。

顧問)そうですね、大手ゼネコンとか、大きい仕事はね。ユンボとか重機がどこにでもある時代ではなかったので、ほとんどのところは手でやってたから小規模工事しかできなかったんですよ。重機の発展とともに、生コンの需要も増えたという感じでした。

生コンの製造ってどうやるんですか?

顧問)大雑把にいうと、セメントと砂と砂利、混和剤をプラントが自動でミキシングして、規定に沿ったものをつくります。この業界は“JIS A 5308”っていう基準がありまして、品質管理が大変厳しく、所定の固さと時間で現場にもっていって、さらに現場でも検査されます。

品質管理ってそんなに厳しいんですね。

専務)注文を受けてから運び出しする前に、コンクリートの配合等がちゃんと守られてるか検査します。強度は何に使われるかによって変わります。

顧問)生コンだけでこれだけの書籍があるんですよ。土木は土木の基準で注文されるし、建築は建築の基準、公共工事も指定の基準で注文されます。ちなみにコンクリート技師の合格率は約30%で、コンクリート主任技師では約10%以下と、かなりハードルが高い資格ですね。

ここで作られたコンクリートはどこで使われていくんですか?

顧問)丹波市内がほとんどですね。公共工事と、民間工事と。民間工事は住宅の基礎とかですね。うちは4トンの小型のミキサー車があるので、公共工事のような大きな現場も行きますし、細い道にあるような一般住宅も対応してます。

お客様は個人事業主が多いこともあって、一年中稼働して出荷している状態ですね。公共工事のような大きい工事ばっかりだと、何もすることなくなる期間もでてきたりするんでしょうが、年間通して閑散期がないんですよね。

逆に、年間通して繁忙期はありますか?

専務)冬とか年度末あたりにフッと公共工事が入ったりしますね。年間通して夏だけ少し落ち着きますが、それ以外はそうでもないですね。

生コンの材料や建築資材は外から買ってきてるんですか?

専務)そうですね、既定のサイズ等で買ってます。その方が品質が安定するんですよ。

顧問)ちなみにこの業界の不思議なところで、重量で仕入れて、売るときは容積で売る業界なんですよ。

そうなんですね。最初戸惑いそうです。

会社で働くみんなの気持ちを理解する支えとなった“よその釜の飯”

顧問はいつから入社されたんでしょう?

顧問)私は元々、別の生コン会社で技術職と管理職をしていました。それから定年退職後、今から3年前ですね、60歳になる年で前川建材の顧問として入りました。この業界には最初からいますので、40年程いることになりますね。前川建材の社長や工場長とは以前から知り合いで、その経験から『微力ながらお手伝いします』ということになりました。

なるほど。では専務はいつから入社されたんですか?

専務:6年前の2015年なので、31歳の時ですね。僕は地元の氷上西高校を卒業した後、大分県の学校や大阪の専門学校いって、それから編入制度を使って大阪産業大学を出て、大阪で7年勤めてました。

勤めてたのは今と同じ土木建築関係ですか?

専務)いわゆる宅配ボックスですね、マンション設備の会社です。今では賃貸・分譲マンションに当たり前のようにありますが、それを考えた会社で働いてました。以前からその会社が前川建材と取引がありまして、「ちょうど新卒募集してるからどうや?」って話をいただいて。

親からすると「学生まで自由気ままにやってきて、そのまま帰ってきてもろくなことにならんやろな」というのがあったんでしょうね。僕自身もそう思ってましたし、何より外の会社にも興味があったので、「外の飯を食っとこう」と決めましたね。

学生時代はバイトもしたことなかったんで、年上の人との接し方とかよくわからんかったですし。前の会社はいい人ばっかりで随分助けられました。

昔から、いずれは家業を継ぐという気持ちがあったんですか?

そうですね。いずれは継ぐという気持ちがあったんで当初は3年で帰ろうと思ってたんです。でも、せっかく慣れて一人前に働けるようになってきて、怒られっぱなしやったのが出来るようになると惜しくなってきて、と気づいたら7年いましたね。

いつぐらいから家業を継ぐことは意識されてたんですか?

小学校くらいからですかね。周りからも言われて意識し始めたのは。周りの友達からも『家業があって継げるからええなあ』とか。なんで周囲がそんなん知ってたんのか知りませんけど(笑)。

実際戻ってきた時、イメージとのギャップはありましたか?

「使われてる方が楽やな」と感じましたね。立場が変わって、給料をもらう方から渡す方になると。上にたつのはやっぱり、違うしんどさがありましたね。どの立場でも、楽なことはないんですけどね。

雇われる側の気持ちがわかるというのは、外の飯を食べてきた成果なんでしょうね。

そうですね。帰ってきた時は、会社の中で僕が一番若くて。大先輩ばっかりでしたんで僕が何か教えるというよりは、むしろ教えてもらうばっかりでした。

まあでも、「社会というのはこうだ」とカチっとした正解がないので、田舎は田舎、土建は土建の流れや風習があって。でも、きっちりしないといけないところは万国共通で。適当じゃいけないところは絶対にあるので、その感性を前職と今で掴めたのは大きいなと感じてますね。

今年の4月に専務になったんですよ。いずれは会社を継げるようにということで。社長は今68歳ですんで、70歳を一つの目安にしてはるのか知りませんけど。

顧問)『結婚したら代替わりする気でおる』って、社長からは聞いてます!(笑)

一同(笑)

これからの担い手を募集!家族のように支えあう会社を目指して

会社は何人いらっしゃるんでしょう?

専務)従業員数は役員入れて13人ですね。あとはアルバイトが1人。平均年齢は50代くらい。70代が1人、50代が6人、40代が2人、30代が2人。年齢層は高いですが、その分経験がかなり豊富です。

顧問)一番長く勤めてる人で53年ですから。

それはすごいですね!

顧問)意外と、うちの仕事は重労働っていう作業がないんですよ。なので年輩の人でも働きやすいと思いますね。

業務の時間はどういう感じでしょう?

専務)通常、8~17時までが仕事ですね。遠くに生コン運びにいく時は早番の人が対応します。基本的に残業はありませんね。朝一出発と、昼一出発がほとんどです。というのも、生コンが固まってしまうのでそもそも遠くまでいけないんですね。JISの制約で90分以内に現場へ運び込むといった制限があるんです。

顧問)なので、遠くにいったとしても三田市あたりまでですね。遠くに運べないので、逆に現場がこちらなら京阪神の販売店や同業者から依頼が来るんですよ。

やはりこの業界は経験がかなり重要ですか?

専務)いやあ、どうでしょう?意外と覚えてしまうと、作業自体はわかりやすいですよ。コンクリートの試験とかはさすがに経験があったほうがいいですが、運転はそこまではないですね。会社内に経験を積んだ人が沢山居てる間に、次の世代を育てておきたいという希望があります。

どんな人にきてもらいたいですか?

専務)長く勤めてくれるような人がいいですね。僕と一緒にこれからの会社を支えてくれる人材にきてほしいと思ってます。年輩の経験者層は十分なほど揃ってますんで、次につなげていく意思をもってくれると嬉しいです。

今募集されている職種は何でしょう?

専務)運転手と、生コンクリートの検査業務ですね。

必要な資格とかありますか?

専務)車の免許はAT限定は不可ですね、うちの車は全てミッションですので。運転手は大型自動車免許をお持ちの方は優遇します。ただ、基本的には必要な免許は働きながらとってもらったらいいので。コンクリート技士の資格を50歳過ぎてから取得する人もいますし。

顧問)この業界は取得する免許がたくさんあるんですよ。公害関係は大気、水質、振動とか。でもそれは入社してもらわないことには教育できませんので。特に検査業務はなかなか免許がとりにくくて、全部覚えて理解しようと思えば10年はかかります。できれば高卒の工業系とか、土木建築の専門学校を卒業された方が嬉しいですね。大卒ももちろん歓迎です。

運転手の人でもコンクリート技師の資格をとってもいいですから。会社全体のレベルが向上しますし。会社の為になる資格をとったらその分還元していきたいと考えています。覚えることが沢山あるので、やっぱり学ぶことにやる気がある人が嬉しいですね。

今後の会社の方向性としてはどのようにお考えですか?

顧問)うちは建築資材の販売もしてますが、案外生コンの会社が建築資材を販売するのは珍しいんですね。家建てる時とか、ガーデニング等に使用する資材を引き取りにくる人もいらっしゃいますよ。造成する場合はその土とか。なので、主とする生コンから派生できる事業は、今後も拡大していきたいですね。

専務)建築資材を他にどっか取りに行こうと思ったら、最寄りだと福知山市とかになります。僕らもそこへ仕入れに行くんですけど、やっぱり現場が丹波市内でしたらうちの方が近いし、運搬が何回も必要なら仕事になりませんし。そういう意味では重宝してもらってます。

目先の新たな事業としては再生砕石を検討してます。要は再利用ですね。セメントとかを再利用して骨材として販売する。これからも安定して事業を行う為にもやはり設備投資はしていこうと考えています。

前川建材をどういう会社にしていきたいですか?

専務)会社をちゃんと回して儲けを出して、それをみんなに還元できて、従業員の家族からも「前川建材で働いててよかった」と言ってもらえる会社にしたいなと。従業員がみんな会社を自分のことのように思ってくれるような会社。それを当たり前にしたいですね。

前川建材の仕事はどういうところにやりがいがあると思いますか?

顧問)公共工事や災害復旧工事、病院なんかの大きな箱物を手掛けたとき、『あれ、うちの生コンや』とか、やっぱり子供や孫たちに自慢できますね。目に見えてカタチになるところは自信と誇りに繋がりますね。

専務)先ほどの話のように、自分の意識次第で運転手でも検査業務とか自分のやりたいところが伸ばせたり、挑戦できるところですね。今が本当に転換期で、年輩の経験者が多いということは、今若い人が入ってくると経営陣の右腕になれるチャンスでもあります。資格とったら何歳でも働けますし。やる気と目標もって、やってくれる人がいいですね。

最後に一言お願いします。

専務)この業界はイメージ的に3Kと言われてますよね。“きつい、汚い、危険”とか言うやつです。でも、意外かもしれませんが本当にそうでもないんですよね。大きなユンボとか、11トンのミキサー車とか、色んな乗り物乗れますし。やってみたら簡単ってこともあります。是非、興味があれば、門はあけとくのでいつでも見に来てください。

専務が自慢だとおっしゃっていたアットホームさは、取材にお伺いし話を聞いている間、現場で働くみなさんからも本当に終始感じられました。記事を読んで少しでも関心をもてた方は是非問い合わせてみてください。

※この記事は2021年9月29日に取材した情報をもとに作成いたしました。

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