CEO Interview

経営者インタビュー

社会福祉法人青垣福祉会

安田千代さん

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社会福祉法人青垣福祉会

丹波市の北西部にある青垣地域。他の5地域と比較して一番人口が少ない地域であるものの、それゆえに豊かな自然がここにはあります。青垣地域唯一の認定こども園を運営されている、認定こども園あおがきを取材してきました。

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◆青垣地域の特色を活かした保育環境を

◆人が温かみをもって接することができる園にしたい

◆「パラグライダーが飛んでる!」散歩できる環境だからこその良さ

◆こども園は色んな人と関わることから学べる素晴らしい現場

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今回は安田園長と、Iターンで大阪からこられた石川先生にお話を伺ってきました。

青垣地域の特色を活かした保育環境を

まず、認定こども園あおがきの設立経緯と行っている事業内容について教えてください。

2011年4月に青垣地域内の3つの保育園と1つの公立幼稚園を統合する流れで設立されました。主な事業はこども園とアフタースクールになります。

この認定こども園あおがきは、市内の他の園と比べてどういう特色がありますか?

まぁ自然はね、丹波市はどこでも豊かなんですけども(笑)

ここでは青垣地域の特色を活かしたことは保育に取り入れたいと思っていまして、その、食べ物からいきますと、「アマゴ」ですね。ここ2年程ではあるんですが、地域の特産品を味わおうということでアマゴは夏祭りで使っています。

あと、地域にある色んな自然を利用したりしますね。稲土の方の川遊びやホタルで有名な浄丸の滝とか、お寺の高源寺も有名ですしね。芦田地域でしたら江古花園とか。グリーンベル青垣にはプールもあったりしますので利用しています。(※今はコロナウイルスの影響で中止しています)

え?!グリーンベルまで行って泳ぐんですか?

そうですよ、向こうからバスでお迎えに来ていただけるんで。だからそこのプールに入るし、泳ぎの基本的なことは教えていただけて、夏はここのプールに入るので、秋には結構泳げる子が多いですよ。

それはすごいですね。他に何かありますか?

和太鼓を当初から緩やかに続けているんです。元々、芦田保育園が大会に出てたんですよ。その当時、保育園は4歳までだったんですが、5歳児並みのレベルではあったんですよね。でも保育・教育の見直しにより、今の認定こども園になってからはなくなったんです。

ただ、芦田保育園以外にもかなりたくさんの太鼓があったので、安いものではないですし、楽器の一つではあるしということで“音楽遊び”というかたちで存続していくことになりました。太鼓するにあたっては外部講師として大阪から来てもらったりしています。(※今はコロナウイルスの影響で中止しています)

なるほど。ここに通う子供たちに特徴とかありますか?

この園に通う子供たちは基本的にみんな、はじめましての子が本当に大好きなんですよ。だからすぐに仲良くなっちゃうっていう。それは今までずっと見てきましたし感じます。なんかこう、相手をしたくなる、「僕が、私が、教えてあげる!」みたいな。

普通、新しく入る子が新しい所に来たら入りにくいっていうのがあると思うんですが、なんかもう、取り合いしてるんですよ(笑)だからこう、みんな温かいです。

子供同士の仲がいいっていうのはいいですね。現在、子供は園に何人いますか?

今の所146人です。一番多い時には220人程居たんですよ。青垣地域は氷上西高校があるので、そこへいくならこども園から高校までずっと同じ顔ぶれで進学していくことになりますね。

そのエスカレーターに乗る子からすれば、最初の場所になるので大事になりますね。 ちなみに先生方は今何人いらっしゃるんでしょう?

事務職や調理師も入れて全部で38人ですね。保育教諭だけで言いますと、女性の先生が29人で、男性の先生が2人です。男性の保育士は少ないこともあってか、子供たちからアイドルみたいな扱いを受けてたりしますよ(笑)

なるほど。園で一日今日はこんな風な事やろうとか、日々のカリキュラムはどうやって決められてるんですか?

 職員が決めています。1カ月単位ですね。カリキュラムは子供たちの現状を考慮して、ここからどこを成長の狙いとするかっていうところを考えてたてます。一か月間の方針が決まって、そこから一週間におろして、そこから一日におろすっていう。

このあたりのことは教科書がないので、先生が作るしかないんですね。大体、子供に何を学んで欲しいか、何を狙いとしていきたいかいうことで考えています。

人が温かみをもって接することができる園にしたい

安田園長はどのタイミングから園長をされているんでしょう?

私は4人目ですね。認定こども園になった時には、3園集まった保育園の園長の中からお一人がなられて、その後校長先生を退職された方が外部から入られて、その後はここで昔からずっとお勤めになられてた方が園長になられて。なので、私が園長となったのは4人目です。

ちなみに園長って、どういう流れで決まるんですか?

ここは試験があってですね、それらをクリアしてきたかたちですね。 学校でいうところの教員から教頭、校長とあがっていくみたいに、ここの園でも最終的に施設長の研修という一年間通しての通信教育みたいなものを受けて、一年間かけて資格をとって、初めてここの園長になれる、という流れです。

これは、2人目の園長だった元校長先生がなられた時に、その資格をとられて、次の園長も受けられて。なので、ここではそれを受けましょうと。そういう関門をクリアしてきました(笑)

なるほど(笑)安田園長は丹波市生まれ丹波市育ちですか?

そうです。私は春日町出身なんです。嫁いで氷上町に来て、そこから結婚退職したんですけど、復帰するまでに8年間程は家庭に入っていました。その後、臨時職員として保育園行ったり、幼稚園行ったりしながら、最終的にこの青垣町で人が足りないっていう話を受けて入ってきた感じですね。

安田園長が園長として大事にしているものってありますか?

“人の温かみ”ですかね。人が温かみをもって接することができる園って、まずは先生が心身ともに健康じゃないと温かくいられないですよね。

一時期、働き方改革って社会的に言われていましたね。かなり昔は残業も多かったんですけれど、まだ完璧ではないですが働き方改革ということで業務改善をしていて、先生方が次の日笑顔で来れるよう、元気でいてほしいなってことは常々言っていますね。 先生が元気だと子供も元気になれるし、先生が笑うと子供も笑うし、子供が笑うから、その笑顔をもらって先生も元気になれる。

解決していきたい課題はたくさんあって、じゃあ何をどうしたらいいのか、どうやったら省略化出来るのか、日々考えながら徐々に歩みを進めているところです。

色んなこども園の話を聞いてる限りでは、先生がお疲れモードであれこれ頼むのに気を使うといった親の話は結構耳にして。先生が気持ちよく働けているかは大事なんだろうなと。

でも、わかりませんよ?現場の声聞いたら(笑)
『疲れてます~』って言われたらどうしましょう(笑)

それに似通った話ですけど、やっぱり“感謝の気持ち”と“物を大事にする”っていう、ほんとの基本的なところ。そこはしっかり子供たちにも伝えてほしいなという事で色んな所で話もします。でももう、皆さんそれが当たり前だと思ってくれているみたいなので、普通になってきていますね。

最後に、誰でも失敗ってするやないですか。でも失敗したことは悪いことじゃなくて、失敗して学ぶこともあるので。じゃあ、今度どうしたらいいかってことを考えられるように、みんなになって欲しいなと思っているんですね。 だからよくあるやないですか、失敗したら「すいません」とか。むしろそのすみませんはいらないから、「じゃあ次からどうしよう」って考えることがいいことかなって。

自分だけが良かったらいいという訳ではないので、協力して一つのチームになっていくよう、進めていきたいと考えています。

「パラグライダーが飛んでる!」散歩できる環境だからこその良さ

わかりました。ではここで、Iターンでこちらへこられたという石川先生のお話を伺いましょう。どちらから来られたんですか?経緯を教えてください。

大阪の枚方市から引っ越してきました。子供が喘息持ちだったこともあって、空気がきれいな田舎に関心があってですね。インターネットで丹波の物件情報を見ていて、見に行こっかな~って。実際に見に行っていいなと思って。そして購入することに決めました。

購入して最初は土日とか、お休みの長い時にこちらに来てたんですけど。やっぱりせっかくお家があるんだからこっちに移住しようかなっていう話になりまして、こちらに住むことになったんです。夫だけ仕事の都合もあってまだ大阪なんですが。夫が言い出しっぺなんですけどね(笑)

なるほど(笑)どうですかこちらの家は?

集落にはホタルが沢山でると聞いてて、去年初めて蛍を見に行ったんですよ。すごく綺麗でした。これまでホタルは百貨店に見に行くもの、山奥までわざわざ見に行くものって感じだったんですけど。今ここでは当たり前のように飛んでて。それがとてもいいですね。

今こちらの園で働いてみてどうですか?ちょっと園長が居たらなかなか率直に言えないかもしれないですが(笑)

(石川先生)そうですね(笑)いやいや(笑)

(安田園長)どうぞ、ご自由に言ってください(笑)

(石川先生)皆さん色んな事を教えてくださいますし助かっています。私は元々幼稚園の先生だったので、今担当しているような小さい子たちの方は自分の子供しか分からなかったんですね。先生によって、子供たちに応じてやり方も色々と違ってやっていらっしゃるんだなという感じで。去年一年間は様々な勉強もさせてもらったり。なので、結構これまでと違って刺激的な感じかなとは思っています。

街中の幼稚園とこちらと比較して、どのような違いやいいところがありますか?

勤めていた幼稚園はものすごい、ある意味ハードだったので。こちらはゆったりと言えばゆったりのような感じもします。 普段からお散歩が出来るっていうのがすごく、全然そこは違うなって思います。まずそこが一番大きいのではないかなと思いますね。これまで、幼稚園とかで散歩っていう散歩は一度もなかったんです。保育園になるとあったのかもしれないですけれども。

街中だと歩いてても、やっぱり道路がすごく沢山あるので車が怖いですよね。ほんとに、ちょっとそこまでくらい行けたらいいんじゃないかとか思うんですけどね。なので、どうしてもバスに乗っていく遠足的な事しかできなかったんですが、こちらは今日みたいに天気の良い日だったらお散歩に行きましょう!みたいなのが気軽に出来るんだなっていう。そこが一番大きく違うとこなんじゃないかなと。

確かに。僕も街中の幼稚園でしたが散歩した記憶ないですね。散歩ってどの辺までいくんですか?

園の周辺をグルっと回ってみたり、今日もすぐそこの桜の木の所まで0歳児のひよこぐみでも行けるとか、3歳児のほしぐみとかも歩いて行ってるけど、それがここでは普通の生活なんだなって思うと「いいな」って思いますね。都会ではさすがに、なかなか出来ないことだなって思ったりします。

なるほど。こっちでは当たり前すぎてそれが良さだとあまり気づかないかもしれないです。

子供が空を見たときに「パラグライダーが飛んでる!」っていうのとか、鳥が飛んでる事とかも普通にこう、自然と言葉に出るっていうのが、私からすると「わー、子供たちはちゃんと空みてるんだなぁ」とか思います。街中と違って空が広いんでしょうね。隣にマンションがバーッと建ち並んでいるとか、団地が建っているような住宅街の中は、別に周りを見ることもないですし。

なるほど、ありがとうございます。

こども園は色んな人と関わることから学べる素晴らしい現場

では最後に、新しく入って来られる事になる人に伝えておきておきたいメッセージがあれば伺っておきたいです。

しばらくの間、新卒者の応募が無かったんですね。そうやって人の流れが途絶えるとやはり年齢層が上がってくるやないですか。今も若い先生は何人かいるんですが、それでもやっぱり色んな年齢層の人がいて、子供と関わる事って大事だと思うんですよ。

ある一定で偏るよりは色んな考え方、色んな接し方、色んな捉え方、それらに触れて子供の社会性を育んでいくので。だから新しい人に是非とも入ってきていただきたいのと、もうあの…受け入れ態勢バッチリです!(笑)

一同)(笑)

本当に子供と一緒で先生も、もう新しい人が来たら喜ぶので(笑)

先生も子供たちも受け入れ態勢バッチリということですね。子供たちもバッチリってなかなかないですね(笑)

特にね、青垣地域ではここ一園しかないので新しい人が入って来なければね。そこもちょっと課題なんです。市内での交流とか、小学校の先生のように異動があればいいんですけど、それがないのがネックなんですよ。
将来的にはやっぱり、色んな先生同士の交流、異動が出来るようになって欲しいなと考えていたりします。実現はまだちょっと難しいんですが、将来的にはそんなことができればいいと思うんです。


確かに、人の出入りがないと結構息詰まりやすいかもですね。

会社では当たり前の話かもしれませんが、私たちでも新しいことを取り入れたければ研修なんかに行けばいいのであって、研修で新しい人に出会うとか色んな地域の人と出会う、そこでの話を吸収する、それを園に持ち帰る。で、「九州ではこんな風にするんやって!ちょっとそれ、よくない?何かとり入れようか」とかね。全国レベルでは園長会なんかもありますし。

やっぱり、色んな人と話すっていうことはすごい大事だなって思っています。私は、この仕事のいい所は色んな人と話せる、関わりが出来るっていう、それはもう一番素晴らしい職場じゃないかなと思うんですよ。これは一生勉強が出来るなと思って。人から学ばせてもらえる。なので、そういう職場で働きたいと思ってくれる方がいれば是非、お問い合わせいただければ嬉しいですね。

のびのびと育っている可愛らしい子供たちを横目に、文字通り“人の温かみ”が感じ取れるインタビューでした。興味をもたれた方は是非お話を聞きにいってみてください。

※この記事は2021年5月25日に取材した情報をもとに作成いたしました。

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