CEO Interview

経営者インタビュー

株式会社足立鉄工

足立圭輔さん

企業情報

株式会社足立鉄工

鉄骨を加工する音と青白いスパークが飛び交い、クレーンがそれをせわしなく運ぶ。今日は、そんな光景が日常にある、街中の大型施設の鉄骨を供給されている株式会社足立鉄工にお話を聞きに行ってきました。

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・時代のニーズに合わせて最新設備を積極的に導入

・「背中を見て覚える」職人の世界と最新設備が融合する作業現場

・現場と共に活動し成果をつくり出すCADオペレーター

・今、現場を支える若い世代がいずれ会社の中心に~先を見据えた挑戦を

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今回お話をお伺いしたのは、代表取締役の足立圭輔さんです。

時代のニーズに合わせて最新設備を積極的に導入

初めに会社概要について教えてください。

用途に応じた建築鉄骨を加工、現場に搬入するまでが主な仕事になります。市内のみならず阪神間、京都近郊の商業施設や公共施設、大規模店舗の建築用鉄骨を手掛けています。創業は昭和16年ですので、今年で80年を迎えます。祖父の代に事業を開始し、今は私で3代目です。

会社が設立されてから、これまでの経緯を教えてください。

設立当初は“町の鍛冶屋さん”といった感じで、地域で需要のあった鍬などの農機具修理を主に行っていたと聞いています。小さな町工場のイメージですね。

今の様に、建築物に向けて鉄骨を加工するというのは、先代の父の代から、徐々に設備を整えながら始めています。

なるほど。そうした大型の建築物を手掛けることになったきっかけは何なのでしょうか?

そうですね、当時はまだバブルが始まる前の時期でした。そうした鉄骨を使う大型の店舗や施設の需要が見込まれたこともあり、当時、工場を構えていた街中から、もっと大きな敷地を確保できる今の場所に移転し、事業の主軸を転換していったということですね。時代のニーズに合わせて変化していったのが、きっかけになると思います。

御社は積極的に設備機械を導入して工場のオートメーション化を進めていらっしゃいますが、その理由は何でしょう?

どの業種でもそうですが、働き手がないというような時代に入っていることは感じています。その不足を穴埋めする意味でも、先代から続く方針の1つとして機械化を進めて参りました。

そのお陰もあって、今は少人数でも十分な加工が出来る状態が出来上がってきていますが、最後は人の手や知識、経験がどうしても必要になってきます。

鉄工のお仕事でオートメーション化出来ない作業はどういったことですか?

鉄骨の溶接作業なんかだと、一部長年の経験を持ってないと出来ない作業がありますね。 ただ鉄を切って、付ければいい、という単純なものでもないのです。

そのためにも場数を踏んで、長年の経験を積んだ人材が必要になってくるのですが、そういった人材はなかなかすぐには育たないですよね。長い目で見て、早いうちから若手の人材育成を考えていかなくてはならないということですね。

なるほど。ちなみに同業の会社はどれくらいあるんでしょう?

関西圏まで広げれば沢山になるんですが、丹波市で言いますと、私たちの規模の会社は弊社を含めて、2、3社くらいだと思います。

会社の強みはどういったところでしょうか?

そうですね。やはり毎年のように最新設備の導入が実現できているというところでしょうか。これは他の会社からも設備見学に来ていただいているくらいで、なかなか導入できない規模の最新機器導入が叶っていると思います。そういう設備をすぐに使える環境が揃っているのも弊社の強みですね。

「背中を見て覚える」職人の世界と最新設備が融合する作業現場

現場作業の具体的な内容を教えてください。

やっぱり一番主なものは溶接の作業ですね。基本的には鉄骨が出来上がるまでの一連の作業全てですので、これというのがなかなか難しいんです。塗装もあれば、組み立てとか多岐に渡ります。CADオペレーターが作った図面を見ながら部品を用意して組み立てていく感じです。

若い人や、いわゆる素人でも作業できるものなんですか?

そうですね、作業内容的にはできるんですが、仕事の内容や一つ一つの意味を理解できて、物づくりの喜びが分かるまでとなれば一定の経験値が必要かと思いますね。仕事を始めて数カ月で分かるものでもないですし、全体的なことを掴めるようになるまでは大体3年はかかります。

なるほど、では同じパーツを粛々と作るというよりは、発注に応じて本当に色んなパーツを作っていく必要がある現場なんですね。

そうです。パッと見同じようなものでも必要に応じて微妙な違いがあったりしますし、そういうのを「なぜそうする必要があるのか?」といった全体を把握できるようになるまでとなれば、やはり3年は必要なんですね。

素人発想的には受け取った図面を見ながら作るだけみたいな印象も受けるんですが、いざ作るとなれば、やっぱり技術や経験が必要になるんでしょうね。

そうなんです。なかなかこの辺りが難しいところで、マニュアルがあっても同じようにできない、そもそもマニュアルを作ることが難しいといった感じなんですね。機械でも補い切れていない部分は技術と経験を身につけていただく必要があります。

現場作業する人はどういう人が向いているとか人物像はありますか?

モノづくりに興味がある人の方がいいと思いますね。やっぱり我々がやっている仕事は、自分たちのつくったものが目に見える形として残っていくことになりますので、目に見える分「今回は自分としてもうまくできたなあ」とか、それが励みにもなりますし。

機械化を進めてきてるといえど、まだまだ昔ながらの職人の技が光る業界ですので、最初は簡単に出来そうに見えてうまくいかないことが多いです。結果を安易に求めるよりも、一つ一つを目で見て感じて覚えていくことが何より重要ですね。

そういう話でいくと、中国人実習生の人達は、仕事上言語の問題はないんですか?

日本語を話せる人もいれば、まったく話せない人もいますね。話せない人は身振り手振りとなるんですが、逆に自分が話せない・話を理解できないことを知ってますので“見て覚える”といった観察力が養われている感じがしますね。

それはもうまさに昔の職人さんみたいですね。背中を見て覚えるっていう。

そうですね。他の現場の方でもベトナムの方とかいらっしゃいますが、結局しゃべれないからこそ阿吽の呼吸じゃないですけど、次にどういう作業に入るかというのを体が経験で覚えていて、言葉が通じなくても毎回やることは似通っていますから対応できてますね。

マニュアルがあっても上手くできる人もいればそうでない人もいて。そういった感覚的なセンスが磨かれる現場なんでしょうね。

教えられたことは所詮教えられたことなので、やっぱり自分の中で噛み砕いて、自分のものにしてはじめて出来ることっていうのはどんな業種でもあると思うんですよ。そこに必要なのがやっぱり、仕事に対する意欲かなと思っています。

工場には最新の設備が整っていますが、やっぱりそれを活かしきれるかどうかは、一人一人の経験と技術によるんですよね。

現場と共に活動し成果をつくり出すCADオペレーター

CADオペレーターの仕事は今どういった感じで行われているんでしょう?

現在は一人担当してくれていますが、以前までは私が図面を書いてました。CADオペレーターは現場作業の指示書的な役割で、図面を描いて出したりとか、工程ごとに用いる図面を出したりと、現場とも密接に関わり合いながら作業をします。

ということは、一人で事務所にこもって黙々と作業するというイメージではなさそうですね。

その通りです。弊社の仕事は、全体的にみんなで膝を突き合わせて一つのモノづくりを完成させていくイメージに近いんですね。ですので感覚的には、現場で働く人とは扱ってるものがパソコンなのか鉄なのかの違いですね。状況に合わせて臨機応変さが求められます。

事務関係で働いてこられた人なんかは、ギャップがありそうですね。

以前までの経験によっては、ストレスに感じられる人もいらっしゃるでしょうね。弊社の仕事は建築鉄骨で、大きな仕事も多いです。そうなるとその場その場でやり取りがあり、都度状況が変わることも多いんですね。一度図面を書いて終わり、とはなかなかいかないんです。

目に見える建物は、パソコン内のデータ修正だけっていう話じゃないですもんね。

そうなんです。CADオペレーターの仕事は現場の作業が終わった夕方17時から話が始まることがあったりします。作業するのは次の日になっても、17時からきたメールを見て、次の日の朝どうしようかと考えるとか、急な変更が多々あるので、やはりそういう事態にも対応していく臨機応変さが必要になります。

現場とのコミュニケーションも大事そうですね。

CADオペレーターが現場への指示書も手掛けたりするので、そうなると現場監督に近い場面もあります。ですので、現場との調整もしっかりできて、業務を滞りなくできる状態になればリモートワークも認めています。今勤めてもらってる方は実際にそうしていますね。

CADオペレーターも現場の一員なんですね。

はい。今やってくれている人は工場の中のことも心配してくれる人ですので嬉しいですね、頼もしく感じます。

今CADオペレーターをされている方は経験者だったんですか?

いえいえ、未経験でしたね。募集も「word、excelが使える方」ということで行ってましたし。ですので、今後も新しく入ってくれる方がいるのであれば、未経験でも建築の勉強をして図面の設計に携わってもらえたらと考えています。

弊社のCADオペレーターは、世間一般的なイメージの事務職ではないかもしれませんが、自身の指示書で現場が稼働するその責任感と、一丸となって一つの建物を建てる達成感を楽しめる人が向いているかもしれませんね。

今、現場を支える若い世代がいずれ会社の中心に~先を見据えた挑戦を

人材の募集としては、建築系の学校を卒業された方とか、具体的にはどういった方がマッチしやすいですか?

「鉄骨の建物を加工する」と言っても、1つの仕事を完結するのに「設計」「加工」「運送」、そして「現場工事」の大体4つくらいセクションが必要になります。その中でも、今は特に現場の作業と図面に携わる設計部門の仕事に関われる人材に来てほしいと思っています。

過去に建築系の学校を卒業されている方、ゼネコンなどで現場の監督経験がある方、図面が引ける、設計事務所で働いていたといったご経験があって、なおかつ鉄骨建築に興味がある方がいらっしゃればとても嬉しいですが、もちろん未経験でも意欲があれば大歓迎です。

応募にあたって、なにか必須の資格はありますか?

応募の時点でこれがないと、というものは特にありません。基本的には、仕事をしながら鉄骨建築に必要な資格を取っていくということになります。というのも実は、鉄骨工事の業界は、最も資格が必要な職種なんですね。それも、我々の手がける製品は建物のいわば骨、基礎になる部分ですから、高い品質・安全性が求められるためです。

かつては耐震偽装などの問題もありましたが、社会的にも責任の重い仕事ではありますから、必要な資格もそれに応じて増えていく、ということですね。

今働かれている人は何人ですか?

アルバイトも含め全員で7人ですね。現場で作業する者が6人になります。

少数精鋭ですね。どのような年齢層の方が働かれていますか?

現場では以前、中国人実習生の受け入れをしていた関係から実習生が今4人働いています。33歳が2人と、22歳が2人。また日本人の従業員で22歳が2人。あとは1人、アルバイトで熟練の50歳の方がいてくださっています。

全体的にすごく若い会社ですね。

人数が少ない分、平均すると若くはなりますね。

社長も現場の方も若いですし、年齢が近い分、社長とも距離感近く仕事ができるので従業員の方から「社長、これはこっちの方がいいのでは?」と意見されることも多そうですね。

そうですね、それはどんどん言ってほしいと伝えています。それに、そうやって意見を言えるのは、十分に経験を積んで、自信と仕事に対する責任が持てている証拠でもありますよね。私自身が、周囲の職人、プロフェッショナルとしての自覚を持った方と仕事をしてきたこともありますけど、自分がこうしたらいいと思うことは遠慮せず伝える様、日々指導をしています。

これからの展望はどうお考えですか?

私たちは、祖父の代から事業を始め、徐々に今の規模にまで成長させてきました。鉄骨加工業には工場のランクと言いますか、国土交通省の評価基準によって、規模の認定があります。簡単に言えばランクが上がればより高い建物が建てられるというものですね。現在は“Rグレード”という段階なのですが、数年後を見据えて1つ上の“Mグレード”を取得したいと考えています。

最近では発注元の仕様書で「Mグレード以上の工場で」と指定されることも増えているんですね。今現場を支える若い世代がいずれ会社の中心となることを見据えますと、やはり取得しておくべきかなと。ランクが上がるにつれ、工場の規模も大きくなりますし、そうなると人員も増やさなければなりませんから、新しい人も積極的に受け入れていきたいと思っています。

なるほど。会社としての信用度を高める意味もありそうですね。

そうですね。今ちょうど若い人材が集まっていますし、年齢も近いとお互い切磋琢磨しやすい部分があると思うので、会社と共に長く成長していってくれれば嬉しいです。

足立鉄工の仕事のやりがい、魅力はどんな所だと思いますか?

私自身としては、CADオペレーターでも現場作業でも、自分の手がけた仕事が形となり、何十年も残っていくという所ですね。そこに魅力を感じることが多いです。仕事が形となって、結果となる。若い子でも自分が手をかけた柱が使われてると、そういう目で建物を見ていくんです。まさに、物をつくるというところがやりがいや魅力ですね。

こういったところを一緒にやりがいをもって出来そうだと感じられた方は是非、お問い合わせいただければ嬉しいです。

鉄骨一筋でやって来られた職人さんでもある社長。無骨な方なのかと思いきや、とても柔和で物腰も柔らかく、楽しくお話を伺うことができました。会社も従業員も一丸となって、巨大な鉄骨に立ち向かう日常が垣間見えました。 豊かな自然に囲まれる丹波市で、大きな仕事がしたい、培った設計技術を活かして、もっと現場に近い距離で仕事がしたい、という方にはおすすめの求人なのではないでしょうか。

※この記事は2021年9月23日に取材した情報をもとに作成いたしました。

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株式会社足立鉄工