日本文化にも深く結びつきがある「石」にまつわるお仕事。本日は墓石を中心に石にまつわる設計や加工を手がける森田石材にお話を伺いに来ました。
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・最適なお墓を提案する、石にまつわる営業のお仕事
・Iターン者への求人を先駆け的に行ってきた知見
・白紙の状態から学んでOK。真面目にコツコツと取り組める人に
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まずは、どういったお仕事をされているか、お話を聞かせてください。
はい、メインは石、お墓ですね。お墓の設計から加工、施工まで全般をさせてもらってちょうど100年ですね。101年経ったかな。
お墓の石は、国産だったら四国で採掘している石が有名ですね。昨今では外国産の石材を使うこともかなり多くなりましたね。
100年、すごいですね。社長は創業何代目にあたりますか?
創業者は私の祖父なので、私で三代目ですね。
祖父が生まれた時代は、家族兄弟も多くて、食べていくにも大変な時代でした。学校も満足に行かせてもらえず、10歳で奉公に出されて。縁あって、谷川駅前の石屋で修行に励み、18歳で独立したのが始まりです。
なるほど、そうして技術をもって開業されたんですね。ちなみに、他の墓石を作っている石屋との違いや、特殊な加工が出来るといったことはあるのでしょうか?
そうですね、特殊な加工っていうのはあまりなくて、どこの石屋とも一緒です。ただ特殊な石はあって、関西であればうちしか入らない石もありますね。
奥の黒っぽく赤黄色い皮をかぶったやつですね。あれは、東北の仙台で採掘されている石ですね。
なるほど、確かに特徴的な石ですね。ちなみに、お客さんはどういうポイントでこういった石を選ばれるんですか?
当然自然石を使っている物なので、2つと同じものがないですから、隣近所と同じが嫌とか、自分だけの個性的なものが欲しい方は、「あっ!カッコいいね!」って、選ばれますね。
この石は、大中小さまざまな大きさの玉石をカットして、自然な黄色い皮の部分と磨くと黒光りをする部分をうまく組み合わせたデザインになっています。
これは違う石を繋いでるわけじゃなくて同じ石なんですね。面白いですね。
この石のネーミングは「泥かぶり石」っていう名前だったのですが、「泥かぶり」って名前はよくないので、伊達政宗の発祥地から命名「伊達冠石」という名前になりました。それからは知名度も上がり、今や日本の銘石となりましたね。
今回は求人の募集ということで記事を書かせて頂くのですが、働きに来られた方はどういったお仕事をされるのでしょうか?
大きくは、加工や施工をする「技術スタッフ」とお客様と商談をする「営業スタッフ」に分かれます。昨今手薄なのが、営業スタッフですね。
まず一つは、新聞のお悔やみ欄とかに出ているお宅に訪問をする営業活動と、ユーザー様にご紹介戴いたお客様と商談(設計・見積)する仕事です。最近はインターネットからの問い合わせも多いですね。
確かに、飛び込みで行くものではないですね。どちらかと言うとご紹介、お問い合わせに合わせた提案という形でしょうか。
そうですね。お悔やみが出たお宅に飛び込み営業で、「お墓いりませんか?」では失礼に当たりますし気分を害されます。お亡くなりから49日目が忌明けになり、お骨を墓地に埋葬するという風習がありますので、「お骨埋葬のお手伝いをさせてもらいます。」の営業活動からご縁をつないでいく形になります。
なるほど、働いているスタッフさんも売りに行くというよりは、寄り添うところからスタートするということですね。
その通りです。
しかし昨今では、埋葬形式も世の中の風習が変わりつつありますね。当然、後継ぎの方がおられるところは、お墓を選択される方が大半ですが、後継がおられないところは永代供養墓(合葬墓)を選ばれることも増えてきました。
社長のお考えとして、事業を転換しようと思っていることとか、今までのサービスとは違ったことをされようとしていること等はありますか?
そうですね、例えばお寺に墓地がある場合なんかはお寺の空き墓地の所を利用させてもらって樹木葬とかね。 シンボル的な木を入れて、そこにプレートのお墓を販売するとかですね。
例えば東京都だと、ひとつ墓地買ってお墓建てようと思ったら莫大なお金がかかるんですよね。土地代が高いですし、物価も高いですから。そのことを思うと、田舎はお墓に良いものを選んで建てられることについて、東京都と比べると金額的に考えても、比較的負担ではない面があると思いますね。
それと今一番多いのは、リフォームですね。お墓参りで一番困られるのが、草引きや落ち葉の掃除ですね。田舎の墓所は山林の中にあり、広くて大変だとおっしゃる方も多いんです。掃除対策として最近では砂利を固める工法が人気です。
社長としては、人物的にどういう方が来てほしいとか、今まで来られた方でこういう方はすごく活躍してる等、お考えはありますか?
組織的にはうちは営業部と技術部があります。技術部は加工とか施工をやっています。 そして10年ほど前から葬祭部も設立しています。
それぞれの部署に分かれていますが、コミュニケーションは大切にしています。互いの情報交換や助け合いは、弊社の強みでもあるので強化していきたいと思っています。
それと、Iターンってひと昔前から流行ったと思います。「田舎暮らしはじめませんか」のフレーズです。最初に丹波市で火をつけたのは弊社だと思います。まだ私が20代の頃はバブルの余韻も残っていて3Kと言われた職種でしたので、人材確保には苦労しました。当時駅の売店で求人雑誌を買ってきてリクルートに電話をしたのがスタートです。
やはり最初は掲載料にビックリでしたね。「インパクトを出すには一面に載せること」。なんと一週間で50万円の掲載料でした。「三週間連続で載せないと効果が出ない」と言われて。まあ親父に叱られましたね。「150万円?お前、だまされとるぞ!」ってね。でも、だまされても良いと思うくらい猫の手も借りたいぐらい欲しかったので応募してみたら、なんと20人くらい応募がありビックリしました。
20人!すごいですね、大成功ですね。
ええ(笑)初回は4人採用しましたね。その後も毎年掲載をし会社を大きくする基盤が出来ましたね。その話を聞かれた商工会さんもIターンに便乗され、丹波市に移住された方も増えたと思います。
このウェブサイトは読み手の方としてI、Uターンをイメージして作っていまして、そういう実績があって受け入れに関しても慣れていらっしゃるというのはすごく嬉しい話だなと思います。
実際、都市部で働いてる人と、丹波市で働いている人との感覚が違っていることがあると思っていて。そういった、引っ越してこられた方がギャップで困っていたりとか、困っていらっしゃった時に、社長が何かアドバイスされたというお話はあったりしますか?
一番苦労したところですね。今思い返すと反省ばかりですが、その経験があって今があると思っています。最近の取り組みとして、「そうじ」を通して社内の環境整備と社員同士のコミュニケーションに力を注いでいます。「そうじ」は平等に誰でもできる事なので、社内で「そうじの力実行委員会」を作っています。
委員会は、リーダー・副リーダーを中心に、各部署・各店から一人ずつ参加し、月一回活動報告をしています。行ったことをビフォーアフターで写真を載せて報告をし、委員会メンバーから意見をもらい改善点を次回に生かします。
「そうじ」は作業時間が決まっていて30分で終わります。それは、上下関係なしでするので。そういう意味では、自分の部署以外の人とのコミュニケーションが取れる場にもなります。
あとは、社長面談は年に2回、部署内は月一回行っています。気持ちよく働ける場づくりは今一番大事とされているので、風通しの良い社風を目指しています。極端なことを言うと「部署変わるか!」みたいなこともありましたね(笑)
特にIターン者だと、住む場所も仕事も一気に変わって、ケアも十分必要ですよね。
必要ですよね。若い頃は、結構家族にどっぷり入り込んだ事もあるんですけどね。入りすぎても良くないなっていうのも経験もしましたしね。今は必要範囲で関わることにしています。でも今は情報がたくさんあるので、住まいも自分で決めてる方が大半です。昔は、「どこか住む場所でいいところありませんか?」からのスタートでしたから(笑)
すごいですね(笑) そこも一緒に探してあげていたのですか?
当時はアパートとかも今ほどなかったですからね。雇用促進住宅とか、県住とかぐらい。今はアパートがありますからね。ネットでも結構載っていますからね、自分で見つけてきてもらいます。
ちなみに、そういった方達は都市部で石に関係するお仕事をされていた方ですか?
いえ、ほとんど関係のない人ばかりでした。全く白紙の状態からの仕事ですね。
他に、新卒だと営業ってなかなか難しいんですよね。だから、どっちかというと新卒の子は技術部の方か、葬祭部の方。あとは総務の方とかでやってもらっている子が多いですね。
あと、弊社は研修制度も取り入れています。
実は私も研修で愛知県岡崎市の石材会社に4年間お世話になった経験があるので、業界の発展のためにも研修制度を取り入れました。去年は岐阜県出身の人が三年間研修を終えて卒業しました。この春からは新しく広島県から研修生が1人入社します。
なるほど、三年間研修の受け入れをしているということでしょうか?それは、他の会社の息子さんとかになりますか?
受け入れですね。もちろん石屋の跡継ぎの方ですね。
まあ会社にとっては利益になるのかは分からないですが、やっぱりこの業界を絶やさない為に、自分も外に出たからこそ勉強出来た事が多分にあったので、恩返しのつもりでやっています。でも若い子が入ってくると会社が活気づきますからいいですね!
業界全体の事も考えて、研修生を受け入れたり、会社の先を考えてIターン者を先駆け的に採用したりと、一手先を考えながら進んでいる森田社長。「地道に真面目で素直な子なら、是非きて欲しいですね」と温かく笑いながらお話ししてくださる姿が印象的でした。経験者という方は珍しいかと思いますが、だからこそ1から学んでもらって全然OKですという森田石材さんのお仕事。ご興味がある方は是非一度お問い合わせしてみてください。